中小企業信用保険法等が改正 部分保証の拡大に懸念

セーフティーネット保証5号の部分保証化を盛り込んだ、中小企業信用保険法等の改正法案が6月7日、参議院本会議で可決、成立しました。法案が審議された衆参経済産業委員会では、日本共産党の真島省三(衆院)、岩渕友(参院)の両議員が「5号の部分保証化は断じて容認できない」と厳しく追及。世耕弘成経済産業相から「資金繰りに影響が生じないよう万全を期したい」などの答弁を引き出しました。国会での審議を通じて明らかになった課題を検証します。

 

部分保証の拡大に懸念

「中小企業の経営の改善発達を促進するための中小企業信用保険法等の一部を改正する法律」は、(1)セーフティーネット保証5号を全額保証から部分保証(80%保証)に改悪(2)創業関連保証および特別小口保険(保証)の付保限度額を拡充(3)危機関連保証の創設-が柱です(別項)。公布後1年以内に施行。
〔5号改悪の三つの懸念〕
5号は、不況に苦しむ中小業者の「最後の砦」。リーマンショック後には対象業種を拡大し、約1万6100件の倒産を回避させてきました。
6月6日の参院経産委で岩渕議員は、部分保証化により、(1)新たに5号を利用する中小業者に対する貸し渋り(2)5号を利用している中小業者の追加融資が厳しくなる(3)信用保証制度を基盤とする自治体の制度融資への悪影響-の三つの懸念が、地方自治体や中小企業団体から示されていることを指摘しました。

創業、特別小口は2000万円に拡充

世耕経産相は特別小口保険の付保限度額の拡充や、信用保証協会・支援機関の連携による相談体制の強化なども併せて講じることによって「資金繰りに影響が生じないよう万全を期したい」と述べました。
〔条件変更先の支援〕
同相は、貸し付け条件の変更を行う企業の増加を「モラルハザードの一つの証拠だ」と問題発言をしていました。
岩渕議員は、5号を利用し条件変更をしながらも、4人の従業員を雇用している新潟・村上民主商工会会員(製造業)の実態を紹介し、「小規模事業者が条件を変更しながら、事業の持続的発展のために頑張っていることを評価すべきだ」とただしました。同相は「リスケ(条件変更)を繰り返している企業が本当にしんどい中で日々汗をかいて事業を続けていることは、十分認識している。小口の信用保証については100%の枠を2000万円まで増やすなど、温かい支援もしっかりと行いたい」と述べ、事実上モラルハザード発言を撤回しました。
〔特別小口保険(保証)〕
特別小口保険(保証)の付保限度額の引き上げは、民商・全商連として求めてきたものですが、今回の法改正で1250万円から2000万円への引き上げが実現しました。
特別小口保険は、2015年の法改正で部分保証(80%)に改悪されましたが、真島議員が当時の経産大臣から「(特別小口保険は小規模企業者については)引き続き100%保証として運用する」との答弁を引き出し100%を継続。法案審議で真島議員がさらなる継続を求めると、同大臣は「前々大臣の答弁はしっかりと維持していきたい」と約束しました。
〔危機関連保証〕
リーマンショックといった経済危機や東日本大震災級の災害を想定し、危機関連保証を新設しました(別枠で最大2.8億円。期間は「危機」発生から原則1年延長を含め最大2年)。真島議員は、22年がたった今も阪神・淡路大震災時の借入金の返済に追われている中小業者の窮状を示し、「現実の大震災はわずか1、2年ではとても元の状態には戻らない」と短すぎる実施期間の延長を求めました(5月17日衆院経産委)。

【解 説】
信用保証制度は、2007年10月に責任共有制度が実施され、一部の保証を除き原則、部分保証(80%保証)とする改悪が行われました。
15年の法改正では、NPO法人を信用保険の対象に加えることを理由に、条文上全額保証(100%保証)とされていた特別小口保険を部分保証としました。そして、今回の法改正にあたって政府は「金融機関が過度に信用保証に依存する」と「副作用」が生じると攻撃して、セーフティーネット保証5号にも部分保証を導入してきました。
今回の法改正について、全国商工団体連合会は東京土建一般労働組合と「5号の部分保証化は反対」と署名運動や議員要請行動に取り組んできました。
参院付帯決議では、「小規模事業者の資金調達に混乱が生じることがないよう十分に配意すること」が盛り込まれました。「資金繰りに影響が生じないよう万全を期したい」との大臣答弁も生かしながら、中小業者の資金要求に応える運動を進めつつ、特別小口保険など拡充される制度を自治体の制度融資にも反映させる取り組みが求められます。

全国商工新聞(2017年7月17日付)

 

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2017年8月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 岡商連

県創業融資で200万円 粘り強く交渉重ね=広島・福山民商

広島・福山民主商工会(民商)の太田俊明さんは、県の制度融資を活用し6月初旬、200万円の創業支援融資を実現しました。今年に入って法人を設立したばかりで、「民商の応援もあって実現できました」と笑顔いっぱいです。
太田さんが4月に立ち上げたのは、総合建築業のヒューマン・フィーリングス株式会社。それまでは建築関係の会社に勤めていたものの「経験を生かして独立したい」と、創業したものです。
ところが、設立の費用が予定以上にかさんだこともあって、政策金融公庫に融資を相談しましたが、「融資の受付は会社登記が完了する5月22日以降になる」と言われました。
さまざまな支払い先もあり、焦りが生まれていた時に「融資の相談だったら民商」と、紹介してくれたのが、会員でもある知人の元石勝美さん=左官=でした。
事務所で相談に乗った民商事務局は、太田さんの悩みをしっかり受け止めながらも「焦る気持ちはわかるが、大事なのは今」とアドバイス。一緒になって事業計画を練り直し、広島県の制度融資(創業支援資金=融資期間5年、利率年1・1%)を活用し、200万円の運転資金融資を申し込むことにしました。
しかし後日、信用保証協会から「建設業許可を持っていないにもかかわらず、500万円の受注工事の明細書がある。これでは融資できない」と連絡が。太田さんは県庁の建築課に直接、「私の会社は元請けから一括して受注を受ける総合建築工事を行っている。1500万円までは建設業許可が要らないのではないか」と談判。自分の仕事内容を説明し、建築一式工事に該当することを確認しました。
この後、太田さんは民商と一緒にあらためて信用保証協会を訪問。仕事内容とともに、元請けや取引先からも信頼され、法人化した経緯を説明。保証協会の担当者も「県に確認し、融資の対象になるか検討し、再度連絡します」と回答しました。
そして6月9日、200万円満額の融資実行の連絡が届きました。太田さんは「応援していただいた皆さんの期待に応えられるよう頑張ります」と喜んでいます。

全国商工新聞(2017年7月17日付)

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国家戦略特区で疑惑相次ぐ 国政私物化許さず適正な規制を

安倍政権が成長戦略の柱に据える「国家戦略特区」決定をめぐり、首相の友人が理事長を務める加計学園に首相らが便宜を図ったのではないかとの疑惑が深まっています。
首相の側近や内閣府が「総理のご意向」などとして、文部科学省に対し、愛媛県今治市への加計学園の獣医学部新設を認めるよう圧力をかけたとされるものです。
同学園には今治市が37億円の土地を提供し、県と市が総事業費のうち96億円も負担します。大阪府豊中市の国有地を格安で払い下げた「森友学園」問題など、‘国政の私物化’というべき数々の疑惑に、国民の怒りが大きく広がっています。
国家戦略特区とは、指定地域を「世界で一番ビジネスがしやすい環境」にするとして規制緩和や税制優遇を行う制度です。
加計疑惑のような問題が起きるのは国家戦略特区が、地方自治体が立候補・提案したそれまでの「構造改革特区」と異なり、首相が議長の特区諮問会議が規制緩和のメニューを策定し、それに見合った事業提案をした区域を特区に指定するトップダウン型で推し進められていることがあります(現在10区域)。
医療や雇用、教育、農業など、国民の生活、生命に直接関わる分野の現行システムを「岩盤規制」と称して規制緩和を推し進め、大企業のもうけを応援する点でも重大な問題をはらんでいます。
規制緩和のメニューでは、保険診療と保険外診療を併用する「混合診療」の大幅な拡大が検討され、医療分野を市場原理に一任しようとしています。また、雇用についても解雇自由や労働条件の上限規制の撤廃などをもくろんでいます。
こうした「一国二制度」の存在を認める規制緩和は、法治国家をゆがめ、憲法25条(生存権保障)、同27条2項(勤労条件の法定化)、同95条(特定の地域に適用される特別法は住民投票の過半数を要する)違反との指摘もあります。
国民の安全・安心を脅かす規制緩和に反対するとともに、中小企業・中小業者を本格的に支援するため、大企業の横暴を規制強化する公正な取引ルールの確立こそ求められています。

全国商工新聞(2017年7月10日付)

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展示用軽自動車税を免除 3台分2万7300円=広島・三原民商

広島・三原民主商工会(民商)の兼森浩徳さん=自動車販売=は「商品であって使用しない軽自動車税等の課税免除制度」を活用し、3台分の展示用軽自動車の税金2万7300円が免除になりました。
2014年度「税制改正大綱」に基づいて「地方税法」が「改正」され、2015(平成27)年4月1日以降に車検を受けた車両の軽自動車税が1台7200円から1万800円に増税されました。
自動車販売・修理業者の間から「展示用車両にかかる軽自動車税が大きな負担になっている。他市では免除制度があるので三原市でも制度をつくってほしい」との声が上がり、民商では寺田元子市議(共産)と連携して三原市に制度創設を要望。こうした働き掛けが実り、昨年10月31日に同制度が創設されました。
「取り扱いについて」の案内文書が市内98事業者に送付され、三原自動車販売株式会社を経営する兼森さんの元にも届きました。
軽自動車税の負担を重く感じていた兼森さんは制度を活用するため、申請書類をそろえて3月末に三原市に申請書を提出。「書類に記入したり写真を撮ったりと、手間がかかったけれど、負担が軽くなってうれしい」と笑顔で話していました。

市町村に問い合わせを 申請期限に注意
中古軽自動車等販売業者が4月1日(賦課期日)において商品として所有し、販売を目的としている中古軽自動車等のうち、ナンバープレートの交付を受けているものでも要件を満たしていれば、申請によって軽自動車税の課税免除を受けられます。
対象は軽四輪車、軽三輪車、軽二輪車(125cc超~250cc以下のバイク)、二輪の小型自動車(250ccを超えるバイク)。
主な要件は販売業者が商品として古物営業法第16条に規定する古物の帳簿等に記載し、かつ展示しているもので販売を目的としたものであること。所有者および使用者の名義が軽自動車の免除を受けようとする販売業者と同一の名義であること。用途が社用車、試乗車、リース車、営業車、代用車、レンタカー等の事業用でないこと-などです。
毎年、申請期限があり、それを超えると適用されませんので、注意が必要です。詳しくは市町村に問い合わせをしてください。
また、展示用普通自動車税の減額制度は都道府県税になりますので、都道府県に問い合わせをしてください。

全国商工新聞(2017年7月10日付)

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風営法記事で「トラストタイムズ」のピンバックがありました

風営法問題 「接待」でスナックのママが逮捕され、21日間拘留、罰金50万円の異常….の記事について

https://okashouren.com/?p=1114

風営法をめぐる記事について水商売の経営者へ役立つ情報を配信中というトラストタイムズよりピンバックがありました。

https://times.trust-dk.com/mizu-illegal/

過剰な警察による風営法取り締まりでお困りの方はお近くの民主商工会へご相談ください。

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2017年8月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 岡商連

税務調査で脱税“自白”を強要 仲間とたたかい是正=広島・福山民商

税務調査で脱税“自白”を強要 仲間とたたかい是正=広島・福山民商

納得の税額で終了
事前通知もなく突然、税務署員が自宅を訪れ、勝手にパソコンや寝室の引き出しの中を調べるという不当な税務調査を受けた広島県福山市の橘高直樹さん=遊漁船。福山民主商工会(民商)に入会し、納税者の権利を学んで調査に立ち向かい、5月23日、納得のいく内容で調査を終了させました。「自主記帳を貫くことと、民商の仲間を信頼して一緒に調査をたたかうことの大切さを実感した。民商の仲間に出会て本当に良かった」と確信を深めています。

質問応答記録書に抗議

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民商の仲間と一緒に税務調査を乗り越えた福山民商の橘高さん(右から3人目。その左隣が浜田さん)

 福山税務署の署員が突然、自宅を訪ねてきたのは昨年8月6日。初めての調査で頭が真っ白になった橘高さんは、パソコンの中や棚の資料、寝室の引き出しを調べる署員に何も言えず、「消費税を少なくするために売り上げを少なく申告した」と書かれた質問応答記録書への署名押印を強要されました。署員は帰り際、「貯金がいくらくらいあるか分かっていますか?」とニヤリと笑って資料を持ち去りました。
知り合いに話し民商を紹介され
悪夢のような出来事を知り合いに話すと「民商に相談してみたら」と言われ、翌日には事務所を訪ねて入会。すぐに事務局員と一緒に税務署に出向いて資料を取り戻しました。
民商では対策会議が開かれ、常任理事の岡崎貞子さんから「税務署が来ても何も恐れることはないよ」と励まされました。
その日から橘高さんは民商の税金パンフや税務運営方針、国税通則法、国家公務員法、浦野広明税理士の著書を読んで学習。知れば知るほど自分への調査が違法な調査であることが分かり、調査以降、体調を崩した父や妻の状況を考えると怒りが収まらず、「負けてたまるか」との決意を強くしました。
銀行に反面調査 子どもの通帳も
税務署は2回目の調査を10月3日と決めたにもかかわらず、承諾なしで銀行への反面調査を行い、子どもの通帳まで調べました。橘高さんは11人の民商の仲間と一緒に抗議し、質問応答記録書に「まともな精神状態でなく、言われるように答えさせられ、真実ではない」との文言を付記させました。
2013(平成25)年から3年間の申告について6回ほどの調査が行われ、その度に民商の仲間が立ち会い、橘高さんは乗船記録やガソリン代の経費を示して実額を主張。その結果、3年間で所得税と消費税を合わせて52万円の追徴となりましたが、橘高さんは納得して修正申告に応じました。
調査に立ち会った同じ誠之支部の浜田利彦さん=清掃=は「調査のやり方がひどくて落ち込んでいた橘高さんを心配したけれど調査のたびに橘高さんが成長し、自分の主張を貫いてたたかう姿は頼もしく感じた。調査に負けないために、よく学ぶことと仲間の知恵を集めることが重要だとあらためて感じた」と話していました。

全国商工新聞(2017年7月3日付)

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風営法問題 「接待」でスナックのママが逮捕され、21日間拘留、罰金50万円の異常

風営法(風俗営業法)の許可を取らずにおしぼりを手渡すなどの接待をしたとして2月末、神戸市三宮でスナックを経営する民主商工会(民商)会員のママが警察にいきなり逮捕され、21日間の拘留、50万円の罰金を科されていたことが分かりました。会員の逮捕・罰金事例は札幌・ススキノ、京都でも起きており、風営法による逮捕・摘発は全国に広がる様相を見せています。

「窃盗より悪いのか」
逮捕されたのは、神戸市中央区の三宮でスナックをオープンし3年目を迎えた50代のママ。同区内で、30年以上美容院を経営していましたが、売り上げが頭打ちとなったため、地域とのつながりを生かして、2014年7月にスナック経営を始めました。
保健所から飲食店営業の許可を得て店をスタート。2周年を機に、ボックス席もある10坪の店に移転。サラリーマン客を中心に、平日は女性従業員2~3人で店を回していました。

午後11時過ぎに20人余の警察官
その店に、20人余の私服の警察官がいきなりなだれ込んできたのが2月23日。午後11時過ぎでした。名前を呼ばれたママは逮捕状を示され、手錠をかけられました。「風営法の許可とってないやろ。客の横に座ったらあかんのや」「おしぼりを手渡しても(接待基準)違反や」。人生初めての逮捕でした。
店にいたお客の勘定をしたのも手錠をかけたまま。従業員も含め、写真を何枚も撮られました。自宅、美容室もその日のうちに家宅捜索され、売上帳、従業員の給与明細、お酒の領収書などを押収されました。その後、病院に連れていかれましたが、血圧を測るときになって、医者の前で手錠を外されました。
連行された警察署では全身検査を受け、以来、21日間の取り調べが始まりました。午前、午後合わせ6時間。「なぜスナックを始めたのか」「なぜ風営法の許可を取らなかったのか」「ヤクザの出入りはあるのか」「客はどんな人間か」「従業員に売春させていないのか」「従業員はどんな人間か」「あんたがやったのはボックス営業だ」…。警察官が発した言葉でした。
「私は、保健所の許可があれば、スナックは営業できると思っていたし、風営法のことも知らなかったんです」とママ。何度も警察に説明しましたが、「分かってくれなかった」と言います。
押印を求められた調書にあ然としたこともありました。胸元が開いたドレスを着ていただけなのに「乳を出したエッチな服を着て…」などと書かれていました。「ママだけこんなことになって不公平と思わないか。同じようなことをしている店はないか」などと、‘密告’を奨励されました。
検察官による取り調べでは、風営法違反は「窃盗より悪い」といわれました。
従業員に対する取り調べも厳しいものでした。ブーツの中敷きまではがされた従業員もいます。「おしぼりの手渡し、水割りをつくる、カラオケを勧める、拍手も違反だ」「ママはもう店はできない。あんたやりたかったら、店をしたら。でもおしぼり手渡したら違反やで」といわれた従業員もいました。
釈放されたのは3月16日。この日「店内に設置のボックス席において客に酒類を提供するとともに、客席に同席して談笑等の相手方をするなどの接待をして遊興飲食をさせ」たとして起訴され、50万円の罰金が科せられました。4月に入り営業停止処分も受けました。

数カ月尾行されおとり捜査員も
ママは怒りをぶつけながら言います。
「スナックを始めるときに保険所の許可を取ったけれど、風営法の許可が必要とは誰も教えてくれなかった。そのことを知らなかった、と何度警察に言っても、『ウソつき』と言われた。それに数カ月前から尾行され、おとり捜査員のような人物も店に出入りしていた。取り調べでは『スナックのママは信用していない』『水商売の人間は信用していない』などと何度も言われた。でも飲んでカラオケを歌って元気になってもらうことが私たちの仕事。それがそんなにいけないことか。私たちがやっていることは、窃盗より悪いのか。本当に許せない」

おしぼり手渡しも「接待」!?
兵庫県警の「確認書」

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 風営法は「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」を風俗営業の「接待」とし、同法の許可を取らずに接待することは、風営法違反に当たるとしています。「接待」とは何か、を定めたのが、警察庁の「解釈運用基準」です。法律ではありません。
運用基準は「接待」について(1)談笑やお酌をする(2)ショーを見せる(3)カラオケでデュエットする。客の歌に手拍子をとり拍手する(4)ダンスをさせる-などとしています。
兵庫県警にいたっては、「飲食店営業を営まれる方へ」と記した「確認書」で「客のボックス席に同席(補助席を含む)或はカウンター席で客の横に座り、客に対して談笑する、酒を注ぐ、たばこに火をつける、おしぼりを手渡す、カラオケでデュエットする、遊戯やゲームを行う、客の手を握ったり身体を密着させるなどの身体接触、飲食物を口元に差し出して飲食させる行為等は接待行為」と明記。おしぼりを手渡すことや、たばこに火をつけることも「接待行為」としています。
また同県警は、こうした行為を事業者が「理解した」かどうかを確認するチェック欄をつくり、スナック経営者らに確認していることも明らかになっています。

全国商工新聞(2017年4月24日付)

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「むちゃな差押え!!」が行われている。(津山民商)

「市役所に定期預金を持って行かれた!」

と相談に来たNさん。郵便局から届いた通知には「定期預金を市役所が解約して回収した・・・」。困惑するNさんが市役所へ電話すると、「お父さんが亡くなった後相続を放棄していないですね。義務があるのに納付頂けないのですから・・」との断言。しかしNさんはお父さんが亡くなった数か月後相続放棄し、当時の債権者には通知を送っていたのです。しかもそれは15年前の事!

後日Nさんと共に市役所・徴収課を訪ねて「15年も経過している。どうしてこんな事に?」の問いに「相続放棄していない以上払うのは義務でしょう。どうしてですか?」の逆質問に。

「では相続放棄していない事を確認した通知はここにあるのですか?。ご本人が確認しますから提示して下さい」。すると課長は「此処には無い。課税課に保管してあり、徴収課はその連絡で手続きしたので瑕疵は無い」と。直に課税課に出向き通知の提示を求め、出てきた書面を広げて課税担当者・徴収課長と面談。通知は「相続放棄していない」の記載ですが証明機関は平成28年3月~28年10月!! 徴収課長は通知の現物を初めて見たらしく、担当者に「これ以前の記録は?」、しかし課税課は黙ったままです。

Nさんが持参した書面は28年3月付の「課税通知」、28年11月付の「督促」。確かに市役所が行った手続きの期間と符合しますが?。 Nさんと共に「裁判所のデータベースは30年分有るのですよ」と提示したのは「相続放棄を証する書面」発行は平成14年です。

「ちょっと待って下さい」と3~5分後の返事は「誠に申し訳ありません手違いでした」、こんな手違いの為に定期預金が消滅している事にNさん絶句です。怒りと共に「預金を元に戻してください」と伝えて帰りました。

後日来所したNさん、「定期が元に戻った!」。しかし、持って行かれたのは定期だけでは無かったのです。「定期で不足していた額が普通預金から引かれた記録は通帳に残る」との事。課長さんは謝罪の言葉より手順を踏まえた手続きが大切な事をわかってくれたかなあ?(津山民商)

他にも同様の事態があるのではと懸念するところです。

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2017年4月18日 | カテゴリー : 差し押さえ | 投稿者 : 岡商連

<社会保険加入強化> 強まる加入勧奨の動き 高い保険料払えない

「高くて払えない」と滞納が増えているにもかかわらず、加入促進の動きが広がる社会保険。2017年4月から、未加入の建設業者は現場から締め出されようとしています。社会保険をめぐる動きを追ってみると…。

「ピンク色の封書が送られてきて驚いた」。こう話すのは、岐阜県本巣郡北方町で22年間にわたり念珠製造の工房を経営する松岡さん。
送り主は日本年金機構。封書には「厚生年金保険・健康保険に関する重要なご案内」と赤字で記し、「加入状況等の確認」としながら、「法人事業所と従業員を常時5人以上雇用している個人事業所は、厚生年金保険等に加入することが義務付けられています」と明記。そして、加入していない理由を調査票に記入するよう求めています。
法人になる前の個人事業主時代に、国民年金と国保に加入した松岡さん。「法人設立直後に社会保険事務所(現・年金事務所)の人が来たけど、その1回だけ。その後は加入しろとか何も言われなかったよ」といいます。
すでに国民年金を受け取りながらの生活。「いまさら高い保険料も払えない」と、松岡さんは個人事業主に戻ることを考えています。
同じく本巣市で既製服裁断を営むの杉山さんも個人事業主への転換を検討している一人。法人になって26年。以前は長男も働いていましたが、今は夫婦2人だけ。保険機構のピンクの封筒に驚きましたが、問い合わせ先を見てさらにビックリ。仙台市の日立トリプルウィン㈱という初めて見る名前が。機構からの受託業務と書いてあるものの、個人事業主への転換を考えていると話すと、電話応対した社員は「いつ個人事業主になりますか。3カ月後であれば、その分の社会保険料を払ってください」と答えただけでした。
各地で広がる社会保険の加入促進。その背景にあるのは、国税庁から情報提供された源泉徴収義務者データを活用した、約80万社とされる未加入企業の加入勧奨を進める国の方針です。
千葉県では加入を迫られた自動車整備の法人社長が、保険料は払いきれないと思い悩み、整備工の社員にやめてもらった事例も。美容室経営の法人では、従業員から「社会保険に入ってほしいけれど、それで事業所が倒産したら大変」などの声も上がっています。

全国商工新聞(2016年12月5日付)

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”談笑・お酌”は風営法違反!? 経営者の逮捕相次ぐ

警察が過度な取り締まり 罰金100万円・廃業も

北の歓楽街、札幌・ススキノが、風俗営業法(風営法)で揺れています。同法の許可を取らず“接待”したとして、北海道札幌方面中央警察署の署員が十分な指導もせずにスナックの経営者らを相次いで逮捕しました。100万円の罰金を科され、廃業に追い込まれる店も。店が提供していた酒や清涼飲料水の出荷量も減少、街全体の活気にも影響が出ています。

「接待」しただけで店内で手錠・腰縄

「風営法の許可を取っていないのに接待しましたね。逮捕します」。16年春、ススキノのスナックに警察官が突然押し入り、その場でママを逮捕。その場にいなかった経営者の自宅を家宅捜索の上、パソコン、売上伝票、確定申告書などを押収し逮捕しました。
「女の子が隣に座って接待したというだけで罰金100万円。店がつぶれてもいいということでしょう」。経営者は怒りをぶつけます。
ススキノで店を構えて十数年になりますが、風営法で警察から注意を受けたのは、たったの一度。逮捕される数カ月前のことでした。「1年ぐらい前から、一度は注意、二度目は逮捕される、ということが起きている。ここ数年の逮捕者は20人近くになるのでは」
「注意もされることなく突然逮捕されたママもいる」と話すのはスナックを経営して20年以上のベテランママ。「店の中で手錠をかけられ、腰縄をされた経営者もいる。罰金は軒並み100万円。拘留は2週間前後と聞いている」といいます。
警察による事情聴取も過酷です。「暴力団との関係や、脱税のことも聞かれた」「風営法の許可を取っていない店をうたえ(密告しろ)と言われた」「話してもいないことを調書に書かれ、否定しても撤回してくれなかった」「調書にサインをしないと、ここから出られない、裁判になるぞと脅された」…。

”おとり捜査”まで 解釈1つで犯罪に

さらにママたちからは驚くべき話が出されました。「初めてのお客が店に入ってきて、スマホで店の中の写真を撮ったり、電話をかけたりした直後に警察が入ってくる。お客を使っておとり捜査をしているのではないか」。逮捕されたママさんたちの容疑は、風営法の許可を取らずに客を“接待”したというもの。「見知らぬ客」が“接待”の現場を確認していた、というわけです。
それにしても、処罰や過酷な取り調べを受けなければならないほどの“接待”とはどういうものか。
風営法は「接待」について「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と規定。それを具体的に示したものが警察庁の通達「解釈運用基準」(図1)です。いわく、(1)談笑、お酌をする(2)ダンスを見せる(3)カラオケを歌い、ほめそやす。ママが歌を選曲する(4)客の側にはべる(5)一緒にゲームをする(6)体を密着させる。「アーン」といって食べものを食べさせる―。
ママさんたちは口をそろえて言います。「警察のおエライさんたちも店によく来るけど、カラオケを使って歌を歌うし、女の子が横に座っておしゃべりやお酌もしていますけどね」
北海道札幌方面中央警察署は、この7月を風俗営業店や深夜酒類提供飲食店に対し「立ち入りを強化」すると広報。風俗営業許可を申請する動きも広がっています。

商売つぶす風営法 飲食店守る共同を

「風営法の許可を取ることは、業者にとってデメリットもある」と指摘するのは、北海道商工団体連合会の池田法仁事務局長。日の出まで営業できる深夜酒類提供飲食店と比べ、風営法の許可を取れば営業時間は深夜1時まで(ススキノの場合)。また、風俗営業店は信用保証協会の保証対象外として扱われ、経営が厳しくなっても金融機関から融資を受けることが困難で、サラ金やヤミ金に手を出すことになりかねない、と警告します。
お客に笑顔になってほしいというママの願いや「まちのオアシス」といわれるスナックをここまで追い込んでいいのか。カラオケを歌うことが「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止」するとした風営法に触れるのか。
全商連の遠藤強常任理事(運動・政策委員長)は言います。「警察による過度な取り締まりの実態を調べるとともに、業者の営業の自由と地位向上のため、弁護士・議会とも共同した取り組みを全国的に進めたい」

風営法の解釈基準見直せ=中村和雄さん(弁護士)に聞く

「改正風営法」が今年6月に施行され、深夜まで飲食を提供できる営業形態としてこれまでの風俗営業、深夜酒類提供飲食店に加え、ダンスなどができる特定遊興飲食店営業が新たに加わった。しかしその境界はあいまいだ。警察は「法改正」に合わせて取り締まりを強化することで、権限の拡大を図ろうとしているのではないか。
風営法は「ダンス規制」問題で明らかになったように時代遅れの法律だが、その目的は性風俗の乱れを取り締まることにある。それとは関係のない限り規制すべきものではない。まず教育的指導が重要であって、84年の「改正風営法」付帯決議(図2)の趣旨に照らしても今回の警察のように逮捕・罰金ありきというのは順序がまったく逆だ。
そもそもカラオケをしたりお酌をしたりすることが「歓楽的雰囲気を醸し出す」接待なのか。警察庁の「解釈運用基準」は「接待」を幅広く解釈しているが、風営法とともに基準自体を見直すべきである。

全国商工新聞(2016年8月8日付)

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2017年4月14日 | カテゴリー : 経営対策 | 投稿者 : 岡商連