全商連第5回常任理事会決議を掲載しました

第3回地方別活動交流会を成功させ、転換期に打って出る取り組みの強化を

2017年3月26日
全商連第5回常任理事会決議

 全国商工団体連合会(全商連)は3月25、26の両日、都内で常任理事会を開き、次の決議を採択しました。

一、はじめに
第11回全国会長会議を節目に、共同と団結を強め、地域から「拡大で悪政に反撃を」と奮闘してきました。
通常国会冒頭で「1・26国会総行動」を展開し、憲法無視の安倍暴走政治に怒りの声を上げました。300人を超える国会議員に消費税減税など中小業者の切実な要求を伝え、市民と野党の共闘に貢献してきました。3・13重税反対全国統一行動を成功させ、自主申告を貫き、マイナンバーの記入強要に反撃してきました。会長会議を力に、歴史的転換期に打って出る多彩な取り組みを広げ、仲間を増やしてきました。
安倍内閣は、5兆円を超える過去最大の軍事費を計上する一方で、社会保障費の自然増分を1400億円削るなど、国民生活よりも戦争準備優先の姿勢を鮮明にしています。政府が成立を狙う共謀罪(テロ等準備罪)は、話し合うことを処罰の対象にするものです。民主主義を圧殺する内容と、戦争する国づくりのためという危険な狙いを広く知らせ、悪法阻止へ断固たたかいます。
極右勢力と財務官僚の結託により、国有地がタダ同然で払い下げられたことに「モラル喪失だ」と国民的な怒りの声が湧き上がるのは当然です。庶民をギャンブルに狂わせるカジノを解禁するとともに、制御できない原発や、「死の商人」を増やす武器の輸出を「成長戦略」と位置づけること自体、退廃の極みです。「税金の集め方と使い道」を世論と運動であらためさせ、中小業者・国民に軸足を置いた循環型地域経済を実現することが強く求められています。
ウソと偽りで国民を欺き、立憲主義を破壊する安倍政権の存続をこれ以上、許すことはできません。経営と暮らし、憲法を守るたたかいに全力を挙げ、安倍政権の退陣を迫ります。
第3回地方別活動交流会を拡大の高揚で迎えるとともに、全会員の力を結集して転換期に打って出る取り組みを強めます。

二、要求運動の重点
1、徴収行政から経営を守り、自主計算運動の強化を
低所得者の生活を著しく窮迫させないよう、国保行政にも「滞納処分の停止を適切に活用」するとした厚生労働大臣の答弁は重要です。
納税緩和措置の活用を広げ、個人の尊厳を守るたたかいを強めます。都道府県化による国保料(税)の試算を明らかにさせ、負担引き下げや減免制度の拡充を要求します。個人情報流出や悪用の危険を高めるマイナンバーの利用拡大や記入強要をやめさせます。
消費税10%への増税をきっぱり中止させ、500万事業者の取引排除につながるインボイス制度の導入を阻止します。署名を軸に宣伝・対話を広げ、増税中止を公約するよう野党に申し入れます。地域各界連の活動再開・強化に貢献します。大企業や富裕層が能力に応じた税負担をすれば、消費税収の総額を上回る28兆円の財源が生まれます。「消費税の増税か、社会保障の改悪か」という「悪魔の選択」を迫る「税と社会保障の一体改革」への怒りを燃やして反撃します。
国税犯則取締法を編入する国税通則法の改悪は言語道断です。申告や納税の相談を、税務署の勝手な判断で「扇動罪」など犯罪捜査の対象とする税務行政の強権化を許すわけにはいきません。「査察調査と課税調査の位置づけ、関係が変わるものではない」とした国税庁次長の国会答弁や、税務署員の質問検査権を「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない」とする国税通則法を生かして、納税者の権利を守るたたかいを強めます。
税務署は違法な「呼び出し調査」を広げようとしています。「税務署へ行く前に民商へ」の宣伝で打って出るとともに、税務調査での徴税権力の横暴を、班・支部を基本にした組織的な対応で是正させます。
倉敷民商弾圧事件を通じて、国民の申告納税権を否定し、税理士法の悪用を追認する「司法の反動化」が強まっていることを断じて許せません。法人・個人の申告形態を問わず、納税者同士が教え合い、自信と責任が持てる自主計算・自主申告活動を抜本的に強化します。「税理士の独占業務から税務書類の作成、税務相談を除外」し、「対価目的でない限り、他人の依頼に応ずる行為は原則自由とする」ことなどを柱とした税理士法の改正をめざします。

2、経営を振興し、金融機関や業界団体との懇談強化を
協会けんぽや厚生年金など社会保険対策を強めます。加入義務のない一人親方などを建設現場から排除する誤った指導や仕事打ち切りをしないよう、業界団体や所管行政窓口に働きかけます。ダンピング取引が横行する実態を告発し、法定福利費を上乗せした単価の獲得に力を合わせます。小規模企業振興基本法の付帯決議も生かし、社会保険料率の引き下げと直接支援、減免制度の確立をめざします。社会保険制度改善を求める国会請願署名に取り組みます。
中小業者の経営安定に役立つ公契約条例や、仕事おこしにつながる住宅・店舗リフォーム助成制度、空き家対策などの実現を自治体に提案します。
特別小口や創業融資の保証枠拡大など、信用保証制度の改善点を自治体の制度融資に反映させます。セーフティネット5号(不況業種)の部分保証化で貸し渋りの新たな広がりが懸念されています。金融機関との懇談を強め、資金繰りへの支援を求めるとともに、税務署の反面調査への対応改善や地域経済振興への役割発揮を促します。
政府は「住宅宿泊事業法案」を国会に提出しました。旅館業者に消防や建築基準、衛生、環境の厳しい基準を設け、まともな支援もないままに、違法な「民泊」を野放しにする規制緩和が行われれば、宿泊業の健全な発展は損なわれます。また、フランチャイズ本部との対等な契約を望む加盟店主の要求は切実であり、地域貢献への経営努力も広がっています。「客におしぼりを渡せば風俗営業」とする警察の過度な取り締まりが、スナック経営者の営業の自由を奪っています。商工新聞を積極活用して、業界団体との懇談を進め、困難打開と要求実現に向けた共同を発展させます。
第20回中小商工業全国交流・研究集会(9月2、3日に愛知県豊橋市で開催予定)を大きく成功させるため、すべての民商からの参加を追求します。中小業者運動の実践交流とともに、学者・研究者や自治体職員、地方議員などとの出会いを通じて、共同と連帯、知恵で生き抜く方向を探り合う貴重な機会です。参加者本人の経営意欲を引き出しつつ、必要な財政支援も検討し、地元の経営交流の力にします。

3、共謀罪を阻止し、平和・民主主義を守る共同の発展を
安倍首相は、憲法改悪の野望をあらわにし、「テロ対策」を口実に共謀罪を創設する組織犯罪処罰法の「改正」を狙っています。共謀罪は、脱税など277に上る「4年以上の懲役・禁錮の罪」に該当する犯行を2人以上で話し合い、合意することを処罰するものです。「節税対策の話し合い」も捜査当局の監視や処罰の対象にされかねない危険性もあります。「犯罪の未然防止」を口実に盗聴や監視、密告が横行する社会ともなりかねません。戦争する国づくり阻止、立憲主義の回復のたたかいと結び、共謀罪に断固反対します。
南スーダンに派遣した自衛隊の活動日報を組織的に隠ぺいした防衛省の暴走を許さず、即時撤退を求めます。辺野古新基地建設は日本の主権と民主主義に関わる重大問題です。沖縄に連帯する行動を全国で取り組みます。多くの地域で、民商も参加する「平和・民主・革新の日本をめざす会」(革新懇)が市民と野党の共闘を促進しています。この前向きな変化を生かして、激動の政治戦を全会員の自覚に基づいてたたかいます。
3月に続き、6~7月にも国連で核兵器禁止条約の締結交渉が行われます。国連加盟国の多数によって条約が締結されれば、核兵器は「違法化」されます。核兵器搭載艦船の寄港を拒否するなど、条約締結国が核保有国の戦略に重大な変更を迫ることもできます。6月に向けて、「ヒバクシャ国際署名」を進め、世論と運動で米国に追随し、核抑止力に固執する安倍政権を追い詰めます。
TPP(環太平洋連携協定)の承認を強行し、日本の経済主権を売り渡す姿勢を鮮明にした安倍政権によって、米国いいなりの経済協議が始まっています。米国政府による軍事分野での負担増や市場開放の要求に対し、大軍拡や在日米軍基地の再編・強化、多国籍大企業の権益最優先で応える安倍政権の姿勢を許すことはできません。「基地なき地域振興」と憲法尊重の平和外交を要求します。
在日米商工会議所が協同組合の共済に非関税障壁があると攻撃しつつ、すべての共済を金融庁の監督下に置くよう、あらためて要求していることも見逃せません。命と健康を守る取り組みを通じて助け合いの理念をみなぎらせ、民商・全商連運動に共済会をより深く位置づけて団体自治を守ります。自主共済つぶしにつながるあらゆる策動に反対します。

三、組織建設の重点
1、活動交流会の成功と仲間の笑顔呼ぶ持続拡大を
全商連・第3回地方別活動交流会(5、6月に全国6会場)が迫ってきました。
歴史的転換期に中小業者の生きる道をひらくため、全会の力をどう結集していくのかについて総合的に検証し、新たな前進に向けた活動交流を図る貴重な機会となります。
憲法を無視した安倍政権の暴走が極まる中、苦難に心を寄せた相談活動と危機打開の運動を多彩に展開し、市民と立憲野党の共闘で政治の流れを変えていくことが強く求められています。また、仲間の笑顔を呼ぶ持続拡大を追求するとともに、総合力を高めるため、助け合い共済の推進や婦人部による暮らしと営業の見直し運動への支援、業者青年に魅力ある民商建設を強めていくことも重要になっています。
民商・全商連の屋台骨を担う役員同士の実践交流を通じて、全会の総意を結集し、運動の継承・発展に取り組んでいきます。
すべての民商と県連が、第52回総会時現勢の突破に力を合わせ、活動交流会の顕彰基準・総達成に挑戦します。民商の値打ちを押し出す商工新聞号外も積極的に活用し、「民商ならではの相談活動」で多彩な実益獲得を広げ、仲間に迎え入れます。
読者前面の拡大に総合力を発揮し、春の運動で増やした読者に購読継続を働きかけます。読者からの入会や毎月の会員拡大、共済への同時加入をすすめ、婦人部や青年部との信頼関係を深めて、部員拡大を応援します。参加対象者の全員に活動交流会の意義を丁寧に伝えるとともに、前進的・教訓的な取り組みを全国の仲間が深く学び合えるよう、活動報告の事前準備を推進します。
第11回会長会議・報告集にも学び、過去最高の参加で活動交流会を成功させます。
3月末現勢を踏まえ、4月10日から6月19日まで、毎週月曜日を基本とする運動週報を集約します。また、5月16日から19日、6月13日から16日に、特別日報を行います。
商工新聞・宣伝紙は第2回理事会の日程も踏まえ、4月以降、7月31日号まで1部20円の措置を継続します。

2、拡大を起点に活動改善と連合会の優位性発揮を
第52回総会以降の1年間で、組織と財政の活動がどう改善されたかを明らかにするため、2017年「基本調査」を実施します。「地域を運動でどう変えるのか」「紹介したくなる民商へ何が必要か」「風通しの良い組織をどう築くのか」などを深め、前進的な変化を生み出せるよう「目標と計画」を充実させます。
すべての民商が一回一回の機関会議を充実させ、月サイクルの活動に足並みをそろえます。
商工新聞紙面を紹介し、感想を出し合う機会を増やして、宣伝紙を積極的に活用します。商工新聞中心の活動で運動と組織、財政を統一的に前進させる意義を伝え、組織配達・組織集金への参加を呼び掛けます。会員の頑張りや相談内容を紹介する民商ニュースを発行し、双方向の通信活動にします。
日常的な自主計算活動や会員同士の結びつきを生かし、班・支部の集まりに誘う取り組みを強めます。機関役員が所属する行政区域から班・支部づくりを実践するとともに、役員のいないところでは、会員・地図落としなどに基づく訪問・対話を強め、班・支部をつくる相談を持ち掛けます。
制度学習大綱を生かし、新任の班長や支部役員、共済会・婦人部・青年部の役員にも豊かな学習の機会を保障して、班・支部づくりと役員・活動家づくりを相乗的に進めます。
全自治体要請や業種別・問題別対策、拡大リレーなどで、県連は小規模民商への援助を強めます。県連を媒介として、役員、事務局員の情報交換と活動交流を強め、民商・全商連運動の継承・発展の力にします。
多くの民商が総会を迎えます。最高議決機関にふさわしく、会員の総意を結集できるようにし、新たな前進への決意を固め合う機会として成功させます。また、運動の視野を広げ、確信を深めるために全国規模の集会や交流会にも代表を派遣できるよう、積極的な運動財政の確立をめざします。

四、むすびに
確定申告が終わり、新年度を迎えます。4月1日は、最悪の大衆課税である消費税の強行実施から28年の区切りです。決意新たに「税金の集め方と使い道」を正す世論と運動を巻き起こしていきます。同時に、「仲間を増やして悪政に反撃」の拡大運動を中断しないことが大切です。すべての民商が、不安や悩み、苦難を抱える広範な中小業者に「ともに助け合おう」と呼び掛け、民商ならではの相談活動に導いて、「減らさず増やす」持続拡大を推進することが強く求められています。
2021年8月の全商連創立70周年を心から祝い合うためには、30万読者・20万会員への反転攻勢の拡大が不可欠です。4月から第2回理事会が開催される7月までの間に、拡大を起点とした活動改善に取り組み、秋の拡大運動の高揚に結実させます。
会勢を前進の軌道に乗せ、仲間が増えてこそ、「中小業者運動のナショナルセンター」としての誇りや自信、展望を広げることができます。
「道理・団結・共同」という創立の精神に立ち返り、歴史的転換期に打って出る取り組みを強めて、試練を乗り越えるために力を合わせましょう。

全国商工新聞(2017年4月3日付)